ネット回線の記事には専門用語がどうしても出てきます。このページでは、回線図鑑の記事・診断ツールで使う用語を、初めての方向けにやさしく解説します。用語より先に「自分に合う回線」を知りたい方は、3問のかんたん診断から始めるのが早道です。
ping(応答速度)
操作がサーバーに届いて返ってくるまでの往復時間(ms)。小さいほど反応が速い
ping(ピン。RTTとも)は、自分の操作がゲームなどのサーバーに届いて返ってくるまでの往復時間をミリ秒(ms)で表した数値です。オンライン対戦の体感を決めるのは回線の速度(Mbps)よりこのpingと、その安定性(ジッター・パケットロス)です。数値は小さいほど良く、同じ回線でも有線か無線か・時間帯・サーバーとの距離で変わります。
体感の目安:競技用の一般目安は「ping 30ms未満・ジッター5ms未満・パケットロス0%」。当サイトの記事では「15ms以下なら理想、20ms台までは実用、30ms以上はゲームで不利を感じやすい」を目安にしています。
VDSL方式(マンションの配線方式)
建物の共用部までは光、各戸へは電話線で届ける方式。上限は最大100Mbps(一部の古い設備では50Mbps程度)
マンションの建物内配線(配線方式)の一種で、共用部までは光ファイバー、そこから各戸へは既存の電話回線用ケーブルで伝送する方式です。上限は最大100Mbps(一部の古い設備では50Mbps程度)で、回線会社を乗り換えてもこの上限そのものは変わりません。配線方式にはほかに、各戸まで光が届く「光配線方式」、棟内LANケーブルで配る「LAN配線方式」があります。建物全体の共用設備なので、個人では変更できません。
体感の目安:「光回線なのに、実測が100Mbps前後で頭打ち」ならVDSL方式のサインです。
ジッター
pingのばらつき(変動)。大きいとカクつき・ワープの原因
ジッターは、ping(応答速度)を測定した際の値のばらつき(変動)を指します。ping自体がやや高くても、ジッターが小さく安定していれば体感は良好です。実際、「平均ping20ms+ジッター15ms」より「平均ping25ms+ジッター1ms」のほうが安定して快適とされ、対戦ゲームではpingの絶対値の低さより、この安定性が重視されます。
体感の目安:競技用の一般目安は「ジッター5ms未満」。当サイトの記事でもこの数値を安定性の目安にしています。
パケットロス
データが途中で失われた割合。0%が理想
パケットロスは、送受信したデータ(パケット)が途中で失われた割合です。オンライン対戦では、ping(応答速度)やジッターより体感への影響が大きく、最も破壊的な症状(ラバーバンド現象・ワープ・突然の切断)を引き起こします。理想は0%で、わずかでも発生していると回線・機器のどこかに問題があるサインです。
体感の目安:競技用の一般目安は「パケットロス0%」。発生している時点で快適なプレイは難しくなります。
IPv6(IPoE)
混雑しやすい網の出入口(網終端装置)を通らない接続方式。夜間も混みにくい
IPoE(IPv6 IPoE、IPv4 over IPv6)は、従来のPPPoE方式が経由する網終端装置(回線の認証の関所)を迂回して接続する方式です。網終端装置は夜間などアクセスが集中する時間帯に混雑(輻輳)しやすく、PPPoEはその影響を受けやすいのに対し、IPoEは影響を受けにくく夜も速度が落ちにくいのが利点です。「v6プラス」「OCNバーチャルコネクト」などの名称で各社から提供されています。なお方式によってオンラインゲームで使うポート開放の可否が異なり、MAP-E系(v6プラス等)は制限つきで可能、DS-Lite系(transix等)は基本的に不可という違いがあります。
独自回線
NTTのフレッツ網を使わない自前の回線。混雑に強くpingが安定しやすい
独自回線とは、NTTのフレッツ光網を使わず、通信会社が自前で敷設したアクセス網で提供する光回線のことです。NURO光・auひかり・eo光・コミュファ光などが該当します。フレッツ網が経由する網終端装置(PPPoE接続時の混雑ポイント)の影響を受けないため、夜間などの混雑時でもpingが安定しやすいのが利点です。ただし、「独自回線だから無敵」というわけではなく、時間帯によっては相応に速度が落ちる実測も見られるため、各回線の実測データで確認するのが確実です。
コラボ光(光コラボ)
NTTのフレッツ網を借りて各社が提供する光回線。全国で使えるが夜間は混みやすい
コラボ光(光コラボレーションモデル)とは、NTT東西のフレッツ光回線網を借りて、各通信会社が自社ブランドで提供する光回線のことです。ドコモ光・ソフトバンク光などが該当し、全国のフレッツ提供エリアで使えるのが強みです。ただしフレッツ網を他の利用者と共有するため、従来のPPPoE接続では網終端装置の混雑(輻輳)の影響を受けやすく、IPoE対応にすることである程度緩和できます。
ONU(回線終端装置)
光回線の光信号を宅内の機器用に変換する終端装置。回線事業者からレンタルされる
ONU(Optical Network Unit、回線終端装置)は、光ファイバーを流れる光信号を、パソコンやルーターが扱える電気信号(LAN)に変換する機器です。壁の光コンセントとルーターの間に設置され、「光コンセント→ONU→ルーター」の順につながります(ルーターと一体型の機器もあります)。回線事業者からのレンタル品で、通信が不安定な時はまずONU・ルーターの電源を入れ直す(再起動する)のが基本の対処です。解約時は返却が必要です。
有線接続(有線LAN)
LANケーブルで機器を直接つなぐ接続。Wi-Fiより遅延が小さく安定
有線接続(有線LAN)は、LANケーブルでパソコンやゲーム機とルーターを直接つなぐ接続方法です。Wi-Fi(無線)は電波の干渉や瞬断でping(応答速度)が揺れやすいのに対し、有線接続はその原因を物理的に断つため、遅延が小さく安定します。回線を変える前にまず有線化から試すのが、ping改善の優先順位の1番目です。
最大速度と実測値
「最大◯Gbps」は規格上の上限。実際に出る速度(実測値)は別物
プロバイダの広告に出てくる「最大1Gbps」「最大10Gbps」などの表記は、あくまで技術規格上の上限値です。NTT東日本も「技術規格上の最大値であり実使用速度ではない」と明記しているとおり、実際に出る速度(実測値)は建物の配線方式・時間帯・混雑状況などによって変わります。契約前に確かめたい場合は、みんなのネット回線速度(みんそく)などの実測系サイトで、同じ建物タイプ・地域の実測データを参考にするのが確実です。
事業者変更・転用・新規
乗り換えの手続き区分。コラボ光どうし=事業者変更(工事不要のことが多い)、フレッツ→コラボ=転用、独自回線へ=原則新規(工事あり)
光回線の乗り換え手続きは、大きく「事業者変更」「転用」「新規」の3タイプに分かれます。事業者変更は、コラボ光から別のコラボ光への乗り換え(例:ドコモ光→ソフトバンク光)で、フレッツ網の設備をそのまま使うため工事不要なことが多いのが特徴です。転用は、フレッツ光からコラボ光への切り替えで、これも工事不要な扱いです。新規は、独自回線(NURO光・auひかり・eo光・コミュファ光など)へ乗り換える場合で、今とは別のネットワークに切り替えるため原則として開通工事が必要です。
用語の定義は、NTT東西・各社公式・実測系サイト等の一次情報に基づく編集部の整理です。回線ごとの数値・出典は各記事の比較表(データ出典)をご覧ください。